人間関係が苦しくなるときに、起きていること
人間関係のご相談を受けていると、
恋愛、夫婦、家族、職場、取引先など、
立場や関係性は違っていても、
とてもよく似た構造が見えてくることがあります。
それは、
「自分の中の当たり前」や「こうあるべき」を、
無意識のうちに相手も共有している前提で関わっている
ということです。
恋愛の場面でよくあること
例えば恋愛相談で、よく耳にするのがこんな声です。
- 一度は約束を守ってくれる
- その場では聞き入れてくれる
- でも、結局また同じことを繰り返す
そして、
「私のことが本当に好きなら、嫌だと言ったことはしないはず」
「好きなら、理解して合わせてくれるはず」
という思いが強くなっていきます。
ここには、
「好意=行動が変わる」という期待があります。
けれど現実には、
- 好きでも変われない人
- 理解しているつもりでも、実際にはわかっていない人
- その場を収めるために一時的に合わせてしまう人
がいます。
「好きかどうか」と「行動が変わるかどうか」は、
必ずしも一致しないのです。
仕事や取引先で起きるすれ違い
仕事の現場でも、似たことが起こります。
ある側は、
「これくらいは理解できるはず」
「当然わかるだろう」と思っている。
けれど、受け取る側は、
「意味がわからない」
「どこに聞けばいいのかわからない」
という状態になっている。
ここで起きているのは、
知識・立場・前提条件の違いです。
それにもかかわらず、
「理解できるはず」「理解すべき」という前提で進むと、
不満や苛立ちが生まれやすくなります。
夫婦・家族の中での「わかるはず」
家族関係では、
「長年やってきたことだから、言わなくてもわかる」
「いつも見ているのだから、察してくれるはず」
という期待が入りやすくなります。
けれど実際には、
- どの道具を使うのか
- どこまでやればいいのか
- 何を優先してほしいのか
こうしたことは、
言葉にしなければ伝わらないことも多いのです。
「わかるはず」という思い込みは、
相手を責める気持ちに変わりやすく、
関係を傷つけてしまうことがあります。
家族間の役割と無意識の期待
家族の中でも、
「自分はこれだけやっている」
「だから優先されて当然」
という気持ちが、無自覚に生まれることがあります。
一方で、
負担を感じながらも、
「波風を立てたくない」
「嫌な気持ちになりたくない」と、
何も言えずに飲み込む人もいます。
ここでは、
声の大きい正しさと
静かな我慢がすれ違っています。
人間関係で本当に見直したいこと
これらに共通しているのは、
- 自分の中の「正しさ」
- 自分の中の「当たり前」
- 自分の中の「期待」
を、相手も同じように持っている前提で関わっていることです。
でも実際には、
- 人はそれぞれ違う価値観を持ち
- 同じ状況でも受け取り方が違い
- 察してもらうことを前提にすると、必ずズレが生まれます
人間関係が苦しくなるとき、
問題は「誰が悪いか」ではなく、
期待と現実のズレであることが多いのです。
「こうあるべき」が苦しさに変わるとき
「こうあるべき」という思いは、
本来、自分を安心させるために生まれます。
けれどそれを、
他人に守ってもらう前提にした瞬間、
期待が裏切られ、
怒りや失望に変わってしまいます。
大切なのは、
- 相手は自分と同じではないこと
- 期待と現実を分けて見ること
- 自分は何を大切にしたいのかを知ること
なのかもしれません。
人間関係に悩むとき、
それは「人を見る目がない」のではなく、
自分の内側にある前提に気づくタイミングなのだと思います。
少し立ち止まり、
「私の『当たり前』は、相手にとっても同じだろうか?」
「『わかるはず』という期待で、自分を苦しめていないだろうか?」
と、自分の中の前提を優しく問い直してみること。
それが、自分も相手も自由になれる、関係見直しの第一歩になるのではないでしょうか。